ドラマで英会話 実践編 セックス・アンド・ザ・シティ
実生活にできるだけ近い形の映画やドラマといえばやはり、テレビドラマシリーズです。テレビドラマは登場人物もある程度一定の人がでてくるので、親しみやすく、また小さな出来事、ドラマの日々のシリーズなので映画のような超ドラマチックな展開より感情に左右されることが少なく冷静に英語の勉強ができます。時間も、一つのエピソードが30分程度と毎日どこかの時間で観る、または何かをしながら後ろに音声だけでも流して聞くにはちょうどいい長さです。
そのなかでも、ここで取り上げる「セックス・アンド・ザ・シティ」は日常の事柄についての会話が多く、短い受け答えの会話も豊富に入っていて、かつ、登場人物の女性4人が誰もはきはきとカツゼツがよく、リスニング強化はもちろんですが、英語を使える、セリフをまねして話せるようになりたい人にはもってこいの教材です。
皆さんは、家族の口癖は耳にたこができるぐらいいつも聞いて記憶していますよね。「勉強しなさい」とか「帰ったら手を洗いなさい」とか、「テレビばっかり見てるとお父さんのように偉くなれないワヨ」とか…。それと同じ要領でドラマのセリフを記憶して使えるようになりましょう!
■登場人物とまねしたい話し方の特徴
キャリー: 新聞にコラムを書いているフリーの執筆業。表情もジェスチャーもとても豊かで、もちろんカツゼツもよし!
ミランダ: 弁護士。事実を飾らずにしゃべるところが魅力。弁護士という職業柄か、カツゼツがよく、はきはき話すのでよい英会話のお手本になります。
サマンサ: PR会社経営。過激な発言が多いけど、率直でものごとに固執しないサバサバ感が魅力。 話し方はやはりPRのプロらしく積極的ではゆっくりと分かりやすく、はきはきと自信に満ちた話し方です。ぜひ参考にしたい話し方です。
シャーロット: 勉強ができてお嬢様的な明るい優等生。たまにノー天気なところもありますが、いつもいいことを信じている楽天的な性格が魅力です。人に同感するとき、思いやるときの抑揚のある話し方もぜひまねて勉強してください。
■まずは1~2回好きなように観ましょう。最初から勉強のつもりにすると苦になるので、ストーリーをまずは全部見てストレスをためないようにしましょう。その中に日本語字幕で観ることも最低1回は含めましょう。日本語字幕が、俳優が英語でしゃべっていることの完全に一致した訳とはいえませんが、まったくトンチンカンな日本語字幕はないはずですので、まったくの勘違いで英語を覚えてしまわないように日本語字幕も参考にしましょう。英語で理解できると、なぜそのような日本語字幕になったのかも理解できるはずです。
■2回ぐらい観ると、好きなエピソード、またはもう一度観たい、気になるエピソードというのが出てくるはずです。その好きなエピソードから解剖していきましょう。
私はシーズン5の中では8話が一番好きです。明るい話題で、今後の希望にあふれたエピソードで心も穏やかに何度も見ることができます。
まずは何を言っているのか理解できないことには自分が話すことはできません。3-5回、観たり、聞いたりしていくなかで、分からない単語、熟語、フレーズなどをノートに書き出して調べながら観ていきましょう。 楽しく勉強できれば、この単語調べをとばしてもオッケーですが、何回も見ていく中で、きちんと理解するためには少しずつでも調べていきましょう。全部でなくても、最低、何度も出てくる単語は調べましょう。そうでないと自分の中で勝手に意味をつくってしまう可能性あり(日本語でもたまに似たようなことがおこりますよネ)。
8話に出てくる単語、熟語などをピックアップしてみましょう。
・medic = 「メディク」医者
・stud = 「スタッド」(俗)色男、種馬
・charade = 「シャレード」芝居、言葉あて遊び、ジェスチャーゲーム。字幕では「(結婚)式」とだけ言っています。
・fugitive = 「フュージティブ」つかの間の、変わりやすい
・flee to = 「フリー、トウ」逃れる、逃走する
・pink elephant = 「ピンク、エレファント」そのままだとピンクの象という意味ですが、幻覚という意味もあります。
・party pooper = 「パーティ、プーパー」座をしらけさす人
・crass = 「クラス」粗野な
・skid mark = 「スキッドマーク」タイヤのスリップ痕、(俗)パンツについたうんちの痕という意味もありますが、ここではタイヤの痕です。
・slutty = 「スラティ」(俗)ふしだらな
・abs = 「アブス」腹筋。ドラマの中では、 I could grate cheese on your abs! 「あなたの腹筋でチーズをすりおろせるワ!」と使われています。
・cantaloupe = 「カンタロープ」メロン
・astringent = 「アストリンゼント」収れん、複数の異なる性質のものから同質化、同等化が進むこと。
With a little time and right astringent, Who knows. 「(直訳で)少し時間をかけて、正しく収れんされれば、誰にも(未来は)分からないワヨ。」意外にハリーはシャーロットとうまくいくかもといった意味ではないかと思います。
・blue-blooded guy = 「ブルー、ブラディド、ガイ」名門の出身の男
・crash = 「クラッシュ」パーティーなどに押しかける
■英語字幕にして5-10回以上観ていると、簡単な受け答えのセリフからだんだん記憶にとどまってくれるようになります。そうなったら、映像は観なくても音声だけ聞こえるだけでもいいので、時間のある時に何度も何度も観たり、聞いたりしましょう。理解するのは簡単だったりもしますが、それを自分の言葉として記憶して使えるようになるのはまた脳の別の作業です。
8話の中の記憶して使えるようにしたい、かつ、簡単で作りものっぽくないセリフをピックアップしてみましょう。
I think I might really like him. 「彼のことけっこう好きになっちゃうかも…。」
might 「マイト」の使いかたは、
関連ページ: 簡単な単語で話そう > might
-You look good on it. 「バイクに乗った格好が似合うわよ。」
-No! I look good next to it. On it, I look like this. 「いや、違うね。バイクのとなりだったら似合うけど、乗った格好はこうだよ!(恐い表情を作って見せる)。」「オン」と「ネクスト」の使いかたがミソです。理屈では分かっていても、言葉としてすぐ出てくるのはこんな簡単な会話の受け答えを何回も記憶してからしかでてきません。
-Maybe I'm gonna see you tomorrow. 「じゃあ、もしかしたら明日会えるわね。」
-Yeah, if you don't, call highway patrol. 「そうだね、(直訳で)もし(あなたが僕を)見なかったら、高速道路パトロールに電話してみて!」
Maybe if you did, you would be out here with Richard. 「たぶん、あなたがそうだったら(そんなに大きい胸だったら)、ここにリチャードといたはずよね。(だけど、現実はそんなに大きい胸じゃないからリチャードとは今いっしょにいない)」
Look at that body. It's disgusting! 「見て、あの体! ムカつくワ。」本当は、「まあ! すばらしい体! ほれぼれするワ」が本心なのに逆を言って周りを笑わせています。
-How about these muffins. 「このマフィン、どう思う?」
-How about these eggs. 「この卵、どう思う?」
-How about these napkins. 「このナプキンはどう思う?」
-How about these plates. 「このお皿はどう思う?」
-How about we marry gay guys. 「私たち、ゲイと結婚するのはどう思う?」
-How about now maybe I don't have choice. 「もしかしたら、私、もうそれ以外選択手がないかも…。どう思う?」
これを記憶したら、もう、「ハウアバウト」は使えますよネ! 似たような表現で、what about~「ファットアバウト」というのがありますが、what about は「~しない?」「~しませんか?」といった意味が強くなります。 しかし、What about you? How about you? はにたりよったりの意味になります。
電話を切るとき、その場を離れるとき、もう行かなくてはいけないとき、などのきまり文句もたくさんでてきます。
I should get going. 「もう、いかなくちゃ。」
I look forward to seeing you too. 「わたしも会えるのを楽しみにしてるワ!」
We've gotta say hello. See you all tomorrow! 「(あの人たちに)あいさつをしなきゃ。それじゃ、皆さん、また明日お会いしましょうね!」誰かを見かけて、その人に挨拶をしたいためその場を離れる時に使います。 I have to say hello to Mr. Sato, See you later! 「サトウさんに挨拶しなきゃ、また後でね!」といった具合に応用することができます。
これらは、実際の会話で使うときは、「もう行かなきゃいけない」とき考えている暇はありませんから、瞬時に言葉がでてくるように何度もセリフを聞いて耳にたこをつけましょう!
■簡単な単語ばかりのようで、簡単に理解できるものであっても、それを話すとなるととっさに出てこないものです。たとえば、未来形の will 「ウィル」、彼、彼女の現在形につける s とか does 「ダズ」など、または動詞を過去形にして話すなど…。これらは、いくら理屈で分っていても、いつも耳で聞いていないと自分が自由に使いこなすことができるようにはなりません。5話の中には簡単な言い方で、このような時制の練習になるセリフがたくさんあります。あきても、何度も何度も観たり聞いたりしましょう。ただ後ろに流しておくだけでもオッケーです! すると、実際にこのような場面のとき、頭で考えなくてもスラスラ出てくるようなります。
-I have Walker Lewis calling. 「ルイス・ウォーカーという方からお電話ですが…。」
-I'll take that. 「出るワ。」「アイル テイク ザー」
-Good afternoon, Mrs. Collier. 「こんにちは、コーリアさん。」
-Yes, it certainly was. 「そうね、まさに今の今まではよい日だったワ。」「イト サートンリー ウォズ」
-I never noticed. 「今まで気づかなかったワ。」
-You will now. 「今から気づくようになるよ。」「ユー ウィル ナーウ」
-I'll be without a plus one. 「いっしょに行く人がいないワ」
-I'll be your plus one. 「私がいっしょに行ってあげるワ。」「アイル ビー …」
-Do you live in the neighbourhood? 「近所に住んでるの?」
-No, but the man I'm seeing does. 「いいえ。私は住んでないけど、彼氏が住んでるの。」
-Accorging to the doorman, he hasn't left yet. 「ドアマンによると彼はまだ帰ってないとのことよ。」「ヒー ハズント レフト イェット」
■実際の人との会話では同じレベルの人と話せることはほとんどありません。大部分の初級、中級者は自分より話せて、語彙の豊富な人、またはネイティブと話すことがほとんどではないでしょうか。自分が使えないにしても、意味がわからなければあいづちを返すこともできません。
「セックス・アンド・ザ・シティ」のキャリーは執筆業ですので、言葉の使いかたが巧みで同じようにまねして使うことはできないまでも聞いて理解できるようにするにはとてもよい先生です。ちょっと難しい言葉を使っていても、表情やジェスチャーやウイットがあり、その上カツゼツもよく、何回も聞いていると難しい単語であっても記憶にとどまってくるでしょう。
-They should institute a helmet law for relationship. 「恋愛にヘルメットの装着を義務化する必要があるわヨネ。」直訳で、「恋愛関係にヘルメットの法律を制定するべきだ。」失恋から立ち直るのは大変なので、事故にあった時のことを考えてヘルメットをかぶって安全を確保すべきだ、という恋愛とバイクのライダーを組み合わせたユーモアです。インスティテュートは協会、学会などの意味の他に法律などを制定するという意味があることが、この印象的なセリフで記憶できるでしょう。
-We had the merging of the things, the dividing of the things, the things left behind that you don't wanna get back because that seems mean. 「いったんひとつにまとめたものをまた別けたり、見るにつらいものは取り戻したくないから置き去りにしたりとか…。」直訳だと、「私たちは物を融合させた。(そして)物を別けた。見るとつらいものは取り戻したくないから置き去りにしたものもあった。」
merge 「マージ」はビジネス英語が得意な人はおなじみかもしれませんが、日常会話ではあまり出てきませんが、会社の吸収合併という意味で使う単語です。divide 「ディバイド」も、ビジネス英語ではよく使いますし、算数などの数式で割り算の時に使いますが、ふつうの会話ではなかなかでてこないものです。キャリーのゼスチャーや会話の背景などとともに記憶すると覚えやすいでしょう。
セックス・アンド・ザ・シティの;
■おすすめレベル: 中級、英検2級程度~
■セリフの速さ(話すスピード): 普通
■セリフのおもしろさ: おもしろい
■セリフの簡単さ(簡単な単語を使っているか): すこしむずかしいところもあり
■セリフの鮮明さ(何を言ってるかわかりやすいか): 鮮明
■R指定はありませんが性的描写あり
■英語を使って具体的などのような目的がありますか?
たとえば、自分の好きなひとつのエピソードを毎日、二週間ぐらい聞きますと、レベルにもよりますが、だいたいの短いセリフは記憶してしまうでしょう。それを毎日続けるのです。
苦行にならないように、何度も見てすでに理解はできているときは、料理をしながら、とか、洗濯をしながらとか、後ろに流して、たまにセンテンスを耳でピックアップできる程度でも十分です。耳で字幕を見ないでセンテンスを記憶しているということは「歌」を記憶するのと同じ要領で、一人で歌えるということです。それは、それと似た状況のときに口から出てくるでしょう。それは単語だったり、センテンス単位だったりもします。その記憶しているものや、使えるものを蓄積していくことによって自分の脳の英語の辞書も拡大していきます。
日本にいながらにして英語圏にいるように英語には接することはできませんが、英語圏にいたからといってみんながみんな日々ありとあらゆる様々な英語を聞き、話し、日々進歩しているかといえばそうではありません。
現実は、片言英語でも十分英語圏では生きていけますし、おしゃべりな好きな人、または仕事で話しをしなくてはいけない人以外、意外に人々はいつも同じような話しを繰り返ししているか、それほど込入った話しをしない日常がほとんどではないでしょうか。自分の日常での日本語を思いだしてください。
人との仕事以外の日常のコミュニケーションを英語ですることが目的でしたら、ブロークンな英語でもお互い分り合いたいという気持ちがあれば、十分通じるものです。ですので、初級、中級者でもシャイな気持ちを捨てて、あたってくだけるつもりで、または笑われても気にしない、またはしゃべり続ける、というような勢いでしたら、十分通じますし、上達もします。また、相手を分りたいという気持ちがあれば、相手の使っている言葉を理解し、記憶してそれを自分の辞書に組み込むこともできます。
みなさんの目的はそれぞれでしょうが、もし、英語での日常の人とのコミュニケーションが目的でしたら、映画やドラマなどを毎日観たり聞いたりすることで十分達成できるものです! しかし、「みそ」はできるだけ日常的に観たり聞いたりすることです。 やはり、みそは、「完全コピー」で出演者の顔真似ができるぐらいに(笑)、観賞してください!